介護が大変で、仕事に支障が出ている。
仕事中も親からの電話が鳴り続け、休みの日も呼び出される。
正直つらくて、「いっそ仕事を辞めたほうがいいのかな」と考えてしまうことはありませんか。

こんにちは。OTちゃりんこと、作業療法士のちゃりんです。
家族に迷惑をかけている気がして、

自分が仕事を辞めて、時間を作ったほうがいいのかもしれない
そう悩む人は、決して少なくありません。
実際に、仕事を辞めて介護に専念している人もいますし、仕事を続けながら介護をして、限界ぎりぎりで踏ん張っている人もいます。
どちらが正解、という話ではありません。
ただ、勢いで仕事を辞めると決めてしまう前に、知っておいてほしい現実や、考えてほしい視点があるのも事実です。
この記事では親の介護で仕事を辞めようか悩んだときに、一度立ち止まって考えてほしいことを現場を見てきた立場から整理してお伝えします。
親の介護で「仕事を辞めたい」と思ってしまうのは自然なこと

親の介護が始まると、仕事と生活のバランスが少しずつ崩れていきます。
通院の付き添いや、仕事中にかかってくる電話。
休みの日も気が休まらず、「このまま続けられるのかな」と不安になる人は少なくありません。
そんなときに、「いっそ仕事を辞めたほうがいいのでは」と思ってしまうのは、弱いからでも、甘いからでもありません。
仕事も介護も、どちらも大切に考えているからこそ、自然に出てくる気持ちです。
親の介護で仕事を辞める人が増えている理由
親の介護と仕事の両立が難しくなるのは、介護が毎日続き、突発的で、終わりが見えにくいからです。
最初は、

今だけ頑張れば。少し様子を見よう
そう思って何とか乗り切ろうとする人が多いと思います。
ですが、介護は少しずつ負担が増えていくことが多く、気づかないうちに生活全体に影響が広がっていきます。
たとえば・・・
- 急な通院の付き添いで仕事を休まないといけない
- 勤務中でも電話対応に追われる
- 「いつ何が起きるかわからない」という不安があり、常に頭から離れない
こうした状況が続くと、体力だけでなく、気力も消耗していきます。
仕事に集中できない自分を責めたり、職場に迷惑をかけているのではないかと感じたり。
その積み重ねが、

もう仕事を続けるのは無理かもしれない
という思いにつながっていきます。
親の介護で仕事を辞める人が増えている背景には、こうした少しずつ重くなっていく負担があります。
決して、特別に弱い人が辞めているわけではありません。
親の介護で仕事を辞めたあとに起こりやすい現実

仕事を辞めれば、時間に余裕ができて、介護も少しは楽になるはず。
そう思って決断する人も多いと思います。
確かに、通勤や仕事の負担がなくなる分、一時的に気持ちが楽になることはあります。
ただ、実際には仕事を辞めたからといって、介護そのものが軽くなるとは限りません。

まず、収入が減る、もしくは不安定になります。
生活費や将来のことを考えると、別の不安がのしかかってくる人も少なくありません。
また、仕事を離れることで人と関わる機会が減り、社会とのつながりが薄れていくこともあります。
「介護以外の時間」がほとんどなくなり、気づけば一日中、親のことを考えている・・・
そんな状態になることもあります。
さらに介護に専念することで、親からの頼まれごとが増えたり、「やってもらえる」ことが当たり前になってしまうケースもあります。
結果として親の身体機能や生活能力が落ち、介護の負担がかえって増えてしまうこともあるのです。
そしてもう一つ、見落とされがちなのが、社会復帰の難しさです。
介護はいつ終わるかわかりません。
数年単位で仕事から離れたあと「戻ろう」と思ったときに、ハードルの高さを感じる人も少なくありません。
ここで伝えたいのは、仕事を辞める選択が間違いだ、ということではありません。
ただ、「辞めればすべて解決するわけではない」という現実もある、ということです。
仕事を辞める・続ける以外にもある「介護の支え方」

仕事を辞めるか、今のまま何とか続けるか。
介護が始まると、この二択で考えてしまいがちです。
でも実際には、その間に取れる選択肢があります。
仕事を続けながら、介護の負担を減らす方法です。

「全部を自分で抱えない」それだけで、状況が大きく変わることもあります。
介護保険サービスを「生活を守る手段」として使う
介護保険というと、「施設に入るためのもの」というイメージを持っている人も少なくありません。
ですが、介護保険は本来自宅での生活を続けるための制度です。
すでに介護度が出ている人でも、実はサービスを十分に使えていないケースは多くあります。
- 使えるサービスがあること
- 全部を家族がやらなくていいこと
これらを知るだけでも、気持ちが少し楽になることがあります。
※介護保険の申請やタイミングについては、こちらの記事で詳しくまとめています
介護保険サービスを組み合わせて、家族の負担を減らす
介護は、ひとつのサービスだけで支えるものではありません。
訪問介護、デイサービス、ショートステイ、訪問リハビリ。
これらを組み合わせることで、「家族が担う部分」を少しずつ減らすことができます。
よく、

家族がやったほうが早いから。お金がもったいないから
と無理をしてしまう人もいます。
でも、介護は短距離走ではなく、長期戦です。
家族が倒れないことも、介護を続けるうえでとても大切な視点です。
介護保険でカバーできない部分は、外部の手を借りる
介護保険には、できることとできないことがあります。
たとえば、見守りが中心の支援や、夜間・早朝の対応、同居家族がいる場合の細かなサポートなどは、介護保険では難しいケースもあります。
そうした部分は、自費の介護サービスや民間のサポートを組み合わせることで、負担を軽くできることがあります。
「仕事を続けるために、支援を足す」という考え方があってもいいのです。
※介護保険でできないこと・自費サービスについては、こちらで詳しく解説しています
それでも仕事を辞めるなら、辞める前に整えておきたいこと
ここまで読んで、「それでもやっぱり、仕事を続けるのは難しそう」そう感じている人もいると思います。
仕事を辞めるという選択そのものが、間違いだというわけではありません。
ただ、できるなら辞める前に一度だけ確認してほしいことがあります。
まずは、使える介護サービスを一通り整理してみること。
すでに介護保険サービスを使っている場合でも、
- 本当に今の形が合っているか
- ほかに組み合わせられる支援はないか
この2点を見直すだけで、負担が軽くなることもあります。
実際に、サービスを使ってみて初めて

これなら続けられるかもしれない。もう少し仕事を続けながら様子を見よう。
と思えるケースも少なくありません。
それでも難しいと感じたときに、仕事を辞めるという判断をしても遅くはありません。
大切なのは、支援を使い切ったうえで決めたかどうかです。
また、辞める前に相談できる相手を確保しておくことも大切です。
ケアマネジャーや地域包括支援センターなど、一人で抱え込まなくていい場所があることを、忘れないでください。
まとめ:親の介護と仕事、どちらも守るという考え方
親の介護が始まると、どうしても「どちらかを犠牲にしなければならない」と思ってしまいがちです。
でも、自分の生活を守ることも、親の暮らしを支えることも、どちらも大切です。
介護は長く続くことが多く、介助量が自然に減っていくケースは、決して多くありません。
だからこそ、一人で背負い続けるものではないと思います。
頼れる制度やサービスを使いながら、「続けられる形」を探していくことも、立派な介護のひとつです。
今すぐ答えを出さなくても大丈夫です。
ただ、知ったうえで選ぶことはできます。
もし、ここまでたくさん考えたうえで「それでも仕事を辞めるしかない」と感じているなら、その選択を否定するつもりはありません。
ただ、できることなら、相談だけはしてから決めてほしいと思っています。
ケアマネジャーや、関わっているサービスの職員(リハビリ職やヘルパーなど)は、介護の現場を一緒に見ている存在です。
今の状況や負担を、そのまま伝えてみてください。
それでも難しいと感じた場合、仕事を辞めるという選択肢もあるかもしれません。
また同時に、それは在宅介護そのものが限界に近づいているサインという可能性もあります。
そのときは、次のステップを考えることも、前向きな判断の一つです。
この記事が、親の介護と仕事のあいだで揺れているあなたが、少し立ち止まって考えるための材料になれば幸いです。




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