葛藤のあなたへ「親を施設に…」胸が締め付けられるのはなぜ?
親を施設に入れるこの言葉つぶやいた瞬間、あなたの胸には

私は親を見捨てるのか?

親を可哀想な状況に追い込むのでは?
という、後ろめたさが突き刺さってはいませんか?

こんにちは。OTちゃりんこと、作業療法士のちゃりんです。
施設検討の話が持ち上がるたび、「本当は、私がもっと頑張るべきなんじゃないか」という罪悪感がおそってきたり、なかなか結論が出せない――。
もし今、あなたがそんな葛藤の中にいるのなら、どうか安心してください。
私は作業療法士(OT)として、これまでご家族の悩みを聞いたり、一緒に解決方法を考える時間を過ごしてきました。
その経験から、あなたが抱えるその葛藤は、親御さんという「大切な存在」の未来を真剣に考えているからこそ生まれる、自然な心の痛みだと心から感じています。
施設を検討するその優しさこそが、あなたを苦しめる辛さの正体なのです。
この大切な一歩を踏み出す瞬間に、「これで良かったんだ」と心から思えるように。
OTとして関わってきた中で見えてきた視点から、感情に流されず後悔しないための「タイミング」と「考え方」を具体的にお伝えします。
- あなたが抱える罪悪感(心の重荷)の正体と、その解消法
- 施設検討のタイミングを見極める、OT直伝の客観的な3つのサイン
- 逃げじゃないと確信できる、心穏やかな施設の新しい捉え方
施設検討は「逃げ」ではありません。
それは、あなたが頑張りすぎて倒れないためのお守りのようなもの。
一緒に、後悔しない確信を手に入れましょう。
OTが見た「心の重荷」の正体:なぜ『可哀想』だと感じてしまうのか
あなたは今、胸が締め付けられるような「後ろめたさ」や「可哀想」という感情に悩んでいますか?
その気持ちはあなたに「親を大切に想う思い」があるからです。
でも、その優しさが、知らず知らずのうちにあなた自身を追い詰めてしまっているとしたら?

この図のように、「恩返ししたい気持ち」→「完璧を求めるプレッシャー」→「心の疲れ・罪悪感」という流れは多くの方に共通しています。
ここでは、あなたが抱える「心の重荷の仕組み」を一緒に整理して、「施設検討は逃げじゃない」と心から納得できるヒントをお届けしますね。

OTとしてたくさんのご家族と向き合ってきたので何かヒントになれば嬉しいです
「恩返しをしたい」という優しさが自分を追い詰めていませんか?

親を施設に入れるなんて、親不孝だ

今までしてもらった分、私が最後まで自宅で看るのが恩返しだよね
多くの方がそうおっしゃいます。
OTとして現実を見てきた中で気づいたことがあります。
それは、この「恩返しへの強い想い」が、あなたを『完璧な介護者』へと追い詰めるプレッシャーになっているということです。
完璧のプレッシャー
親御さんの体調変化や、認知症の症状が悪化するたびに、「私がもう少し早く気づいていれば」と自分を責めていませんか?
終わりなき戦い
「いつまで続くのだろう」という不安を抱え、自分の人生の時間や健康を犠牲にしていませんか?
施設検討は、この「恩返し」という優しさを「共倒れのリスク」から守るための、賢明な判断です。
恩返しは、介護の量ではなく、心穏やかな笑顔の時間で返せると、私は心から信じています。
心と体がバラバラになる「限界のサイン」

頭では施設がいいとわかっている。でも、心がついていかない…
このような心と体がばらばらなことが、大きな「後ろめたさ」を生み出します。
体は睡眠不足で疲労困憊なのに、心は「まだ頑張れるはず」と現状維持で頑張る。
これは、介護者が陥りやすい自己嫌悪の始まりです。
この気持ちは、「私は親の介護を全うすべきだ」という古い役割と、「もうやってらんない」という現実的な気持ちのギャップです。
そのギャップが大きくなる前に、次に説明するOTの視点に耳を傾けてみてください。
OTが考える施設生活の真実:施設は逃げじゃない
「親を施設に入れる=可哀想な状況に追い込む」というイメージを持ってませんか?
OTから見ると全く違います。
私たちは、施設を「介護の場所」ではなく、「生活環境を最適に調整する場所」として考えています。
施設は「隔離」ではありません
元気なうちから入居し、趣味や活動を続け、いきいきと過ごしている方も多くいます。
親御さんの状態に関わらず、専門家の見守りのある、安心できる生活環境に移るということです。
今の施設!驚きの実態
今は施設内でパソコンで仕事をしている人もいます。
これを知ったときは驚きました。
親御さんのQOL(生活の質)の向上
排泄の失敗や転倒リスクの不安がなくなり、専門職のサポートを受けられる環境は、むしろ親御さん自身の尊厳と安心感を守ります。
身体を分かる人が近くにいる安心感
身体が分かる人が近くにいると何かあったときの対処ができて安心ですよ。
施設検討は、親子にとって最高に居心地の良い距離を見つけるための「新しい役割へのシフト」です。
頑張りすぎて関係が壊れる前に、笑顔を守る選択をしたのだと自信を持ってください。
「逃げ」だと自分を責める必要は、一切ありません。
後悔しない施設検討のタイミングはいつ?OT直伝・見極める3つのサイン

施設検討のタイミングを逃して後悔したくない

でも、どのラインを超えたら決断していいのか分からない…
そう悩むあなたへ、OTの私から客観的な判断基準をお伝えします。
感情に流されず、事実に基づいて冷静に判断するための3つのサインです。
【サイン1】もう待てない!衛生・尊厳に関わる限界
私が施設入所を検討すべきタイミングとして特に重視してほしいのは、排泄介助に関する負担が増えた時です。
排泄の失敗(失禁など)は、親御さんの尊厳に深く関わる問題であり、介護者側の負担も精神的・肉体的に劇的に増大する境界線です。
介護負担の増大
失敗後の処理や衣類の交換が増え、物理的な疲労が急増します。
これが原因で、介護者の睡眠不足やイライラにつながるケースは非常に多いです。
親御さんの尊厳の危機
親御さん自身も「迷惑をかけている」「恥ずかしい」と感じ、自尊心が低下します。
これは生活意欲の低下にも直結します。
よく失敗して下着を隠してしまい、家族が疲弊したり、イライラしてしまうことは多くあります。
在宅で排泄の自己管理が難しくなり、介護者が大きな負担を感じ始めたら。。。
「可哀想」という感情よりも「親子双方の尊厳と生活を守るため」に次のステップを考えるタイミングだと考えます。
【サイン2】最優先!葛藤が極限に達した介護者のSOS
介護される親御さんのサインよりも、あなた自身の心身のSOSこそが、優先すべき判断基準です。
介護は長期戦です。
介護者が心身ともに倒れてしまえば、親御さんを守れる人はいなくなってしまいます。

この図のように、あなたの心身の状態が④〜⑤に近いほど、それは「共倒れを避けるために必要なサイン」です。
あなたが倒れたら、親御さんを守れる人がいなくなります。
肉体的な極限
慢性的な睡眠不足、腰痛・肩こりの悪化、持病の再発など、「自分の健康管理ができない」状態。
精神的な極限
些細なことでイライラし、親につい強く当たってしまったり、「もうだめだ。どうにかなっちゃいそう」という感情がよぎる。
誰もあなたの努力を責める権利はありません。
もしあなたがこのような極限状態にあるのなら、それは「共倒れ」を防ぐための危険信号です。
このサインを見逃さず、施設入所を親子双方の命を守るための必須措置だと認識してください。
【サイン3】在宅サービスでは追いつかない限界

サービスは多く使っているけど、間の時間をどうしたらいいんだろう
と思っていませんか?
介護度が進むと、介護保険サービスだけでは解決できない問題が必ず出てきます。
在宅サービスを使っているにも関わらず、以下の問題が増えているなら、それは「在宅での環境調整の限界」を示しています。
サービス時間外の問題増
訪問介護のサービス時間外に、転倒、徘徊、問題行動が増える。
サービスの「隙間」が埋められない。
デイサービスに行きたがらない・行き渋りが起きた
生活のリズムが逆転している、人と会うのを嫌がるなど、在宅での生活維持が難しくなっているサインです。
環境改善の停滞
サービスを使ったり福祉用具やリフォームをしても、介助量が変わらない、疲労感やイライラが変わらない。
つまり、外部のプロの支援を導入してもなお、親子のQOLが向上しない状態は、「次の環境(施設)」を検討すべき客観的なタイミングなのです。
施設検討は、「これ以上悪くなる前に」という焦りからではなく、「今、親子で最善の選択をするために」進めるものです。
後悔ではなく、確信を持って進めましょう。
「罪悪感」を「確信」に変える!OT流・葛藤を手放す3つのヒント
Part1で「罪悪感」の正体を、Part2で「後悔しないタイミング」を整理しました。
最後に、決断した後も心がブレないように、OTちゃりん流の「施設の新しい考え方」をお伝えします。
この3つのヒントが、あなたの「葛藤や罪悪感、可哀想と思ってしまう気持ち」を「これで良かった」と思えたら嬉しいです。
嫌な場所ではない。専門家と元気に暮らす「生活の場」
あなたが施設に対して「嫌な場所」「親を隔離する場所」というイメージを抱いてしまうのは、親御さんがそこで不幸になるのではないかと心配しているからです。
でも、OTとしてお伝えしたいのは、施設は「介護を受ける場所」ではなく、「専門的なケアを受けながら、その人らしく元気に生活を続けるための場所」だということです。
OTちゃりんが見る施設の価値
自宅では難しかったリハビリや、集団でのレクリエーション、栄養管理などが整っています。
むしろ、自宅にいるよりも活動的で、安全性が高い生活を送れることが多いのです。
OTちゃりんが考える生活の中でのリハビリ
リハビリは訓練室や訪問だけでの1時間だけではありません。
施設には、自分で歩いて食堂に行く、仲間と雑談するために起きている、といった「生活そのものがリハビリ」になる環境があります。
これは、自宅で過ごしているとできない部分です。
環境の変化による刺激
周囲に「自分より年上の人が頑張って動いている姿」があることは、大きな刺激になります。
自宅で意欲が低下していた方も、環境が変わることで元気に動き出すケースは少なくありません。
専門家という安心感
専門のスタッフが24時間体制で見守る環境は、親御さんにとっても転倒や急変の不安がない「安心の土台」となります。
あなたが選んだ施設は、親御さんの生活を止める場所ではありません。
親御さんの尊厳と活動量を守り、安心を提供する「新しい生活の場」だと考えてください。
施設は「イライラ」を減らし、「笑顔の共有」を増やす場所
在宅介護において、最も心を蝕むのは、介護ストレスからくる「イライラ」です。
介護者の悲しい現実
疲労が極限に達すると、優しくしたいのに、つい親御さんに冷たい言葉を投げかけてしまう。
そして、その後に強烈な罪悪感に襲われる。
施設入所は、この悪循環を断ち切るための最も有効な手段です。
あなたは「介護者」から「家族」に戻れる(役割の解放)
役割の解放
施設にお任せすることで、あなたは「介護者(世話役)」から「ただの娘・息子(家族)」という本来の役割に戻ることができます。
笑顔の純度向上
面会の時間では、オムツや食事の介助でイライラすることなく、心からのおしゃべりや、笑顔だけの時間を共有できます。
親御さんが最も喜ぶのは、あなたの疲れた顔ではなく、心からの笑顔です。
施設は、親子の笑顔の純度を高めるためにあると捉えましょう。

この図のように、施設に役割をバトンタッチすることで、あなた自身が“介護者から家族へ”戻るという、本来の関係を取り戻せます。
親と接する時間を守る「心の保険」に入ったと考える
「自分が頑張れば何とかなる」と思っていませんか?
もし、あなたが介護疲れで体調を崩し、倒れてしまったら――。
誰も親御さんの面倒を見られなくなり、結果的に親御さんが最も望まない形で、急いで施設に入ることになるかもしれません。
施設への入所は、「親を見捨てる」最後の手段ではありません。
これは、あなたが倒れるリスクを回避し、親御さんとの関係を長期にわたって、健康に維持するための「心の保険」なのです。
あなたが元気で、心にゆとりがあるからこそ、定期的に面会に行き、親御さんと穏やかな時間を過ごすことができます。
自分の心と体を守り、親との大切な時間を守る。
これは親御さんにとっても、あなたにとっても、最も賢明で優しい選択です。あなたは親を見捨てたのではなく、「親との未来を守った」と、胸を張って自信を持ってくださいね。
まとめ:あなたには「最善の選択」をする権利がある
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
あなたがこの記事を読む間に、少しでも胸のつかえが取れていたら、OTちゃりんはとても嬉しいです。
最後に、この記事で私たちが一緒に確認したことを振り返りましょう。
あなたが親御さんを想い、胸が締め付けられるのは、優しさと責任感の証です。
その優しさを守るために、施設検討というお守りを選んだあなたは、決して親不孝ではありません。
心の重荷の解消
施設は「隔離」ではなく、専門家と元気に暮らすための「生活の場」です。
後悔しないタイミング
排泄介助の増加や、あなたの心身のSOS(「もうだめだ」という極限の葛藤)は、迷わず次のステップへ進むべき明確なサインです。
罪悪感や可哀想の転換
施設に頼ることは、親子の笑顔を守るための「心の保険」に入ったということです。
親を施設に入れるという決断は、人生で最も重く、苦しいものかもしれません。
しかし、頑張りすぎて共倒れになる未来よりも、心穏やかに笑顔で親と接する時間を守ることこそが、豊かな時間だと思います。
あなたには、親子の未来を守るために「最善の選択」をする権利があります。
感情に流されることなく、OTちゃりんと一緒に整理した客観的なサインを味方につけて、自信を持って次のステップへ進みましょう。
最後まで読んでくださりありがとうございました。


コメント