
体調悪いからデイサービスに行きたくない
朝、そう言われて「またか……」と感じたことはありませんか。
準備をするだけでも一苦労。
声かけをして、着替えをして、時間を気にして。
そのうえ、デイサービスの日だけ電話が何度もかかってきて、対応に追われてしまう……。
正直、しんどいですよね。
これは、認知症の方がいる家族ではよくある話です。

こんにちは。OTちゃりんこと、作業療法士のちゃりんです。
私自身、現場で利用者さんを見ていても、こうした場面に何度も出会ってきました。

嫌がっているから、やめさせる?このまま続けていいの?
そうやって悩んでいるなら、少しだけ立ち止まって、この記事を読んでみてください。
認知症の方がデイサービスを嫌がるとき、家族はどう受け止め、どう判断すればいいのか。
デイサービスを「続ける・やめる」だけではない、別の考え方が見えてきて何か今後のヒントになるかもしれません。
これからを考えるヒントとして、少しでも参考になればうれしいです。
認知症の人がデイサービスを嫌がるのは珍しくない


認知症の人がデイサービスを嫌がるのって、珍しくないの?
そう思われた方もいるかもしれません。

うちだけじゃないんだ……
と、少しホッとする方もいると思います。
実際、デイサービスを嫌がることで悩んでいるご家族はとても多いです。
ここでは、その理由を一緒に見ていきましょう。
環境の変化が大きな負担になることがある
認知症のある方にとって、環境が変わること自体が、大きなストレスになることがあります。
デイサービスは、家とは違う場所で、違う人に囲まれ、その日の流れも決まっています。
私たちから見ると「安全で、見守りもあって、良い場所」でも、本人にとっては何が起こるのか分からない場所に感じられることも少なくありません。
- 初めて利用する
- 職員や利用者の顔ぶれが変わった
- 送迎の時間が前後した
こうした小さな変化が重なると、不安が一気に強くなることがあります。
「行きたくない」は不安や混乱のサインの場合も
「デイサービスに行きたくない」という言葉は、必ずしも拒否そのものを表しているとは限りません。
実際の現場では、
- 理由をうまく言葉にできない
- 何が嫌なのか自分でも分からない
- 不安をどう伝えていいか分からない
そんな状態で、とりあえず出てきた言葉として「行きたくない」と口にしているケースも多くあります。
また、認知症という病気の影響もあり、デイサービスで過ごした楽しかった部分を覚えていないこともあります。
そのため、本人の中では「前に行って楽しかった」という感覚が残らず、毎回、新しい場所に行くような感覚になってしまうこともあります。
そう考えると、不安でたまらなくなるのはある意味仕方のないことかもしれません。
私たちでも初めて行く場所や慣れない環境に行くのは、それだけでストレスを感じますよね。
認知症という病気があることで、その不安や戸惑いがより大きく表れやすくなっている場合もあります。
家族としては、その言葉をそのまま受け止めて「無理をさせているのでは」と感じてしまうこともあると思います。
でも、その一言の裏に、不安や混乱が隠れていることもあるという視点を、まず知っておいてほしいのです。
本人の「行きたくない」は、どこまで事実?

認知症の方の言葉を前にすると、家族はどう受け止めればいいのか迷ってしまいますよね。
「行きたくない」とはっきり言われると、その気持ちを尊重した方がいいのではないか、無理をさせているのではないか、と考えてしまうのも無理はありません。
ただ、認知症がある場合、その言葉がそのままの意味とは限らないこともあります。
家とデイで様子が違うことはよくある
現場では、「家ではあんなに嫌がっていると聞いているのに、デイでは意外と落ち着いて過ごしている」という場面をよく目にします。
逆に、家では特に問題がないように見えても、外では不安が強く出る方もいます。
これは、どちらが本当、どちらが嘘という話ではありません。
そのとき置かれている環境や、周囲の人との関係、体調や気分によって、感じ方が大きく変わるためです。
言葉よりも「様子」を見てほしい理由
認知症のある方は、自分の状態や気持ちを正確に言葉で伝えることが難しくなっていきます。
そのため、「行きたくない」という言葉の裏に、
- 疲れている
- 不安が強い
- 今日はテレビが見たい
- 今日は気分が乗らない
といった、別の理由が隠れていることも少なくありません。
だからこそ、言葉だけで判断するのではなくこの部分を見てみてください。
- デイから帰った後の表情
- その日の疲れ方
- 夜の眠りや食事の様子
核家族で、様子を見られない場合はどうすればいい?
ただ、最近は核家族で暮らしていたり、仕事などで日中の様子を見られなかったりして、「前後の様子をじっくり見るのが難しい」というご家族も多いと思います。
それでも大丈夫です。
すべてを家族だけで把握しようとしなくていいのです。
たとえば、
- デイでの様子を職員に聞いてみる
- 連絡帳の内容を意識して読む
- 「家ではこんな言葉が出ている」とそのまま伝える
こうした情報のやりとりだけでも、判断の材料は増えていきます。
家族が直接見られない部分は、サービスを使って補っていくという考え方もあります。
家族が一人で判断しなくていい
とはいえ、家族だけで「これは本音なのか」「無理をさせているのか」を判断するのは、とても難しいことです。
迷ったときは、ケアマネジャーやデイの職員に、そのままの気持ちを伝えてみてください。
- 家ではこんな言葉が出ている
- 電話が増えていて負担を感じている
- 続けるべきか迷っている
こうした情報は、今後の支援を考えるうえで、とても大切な材料になります。
デイで「楽しめていないように見える」時間の意味
デイサービスについて、ご家族からよく聞く言葉があります。

行っても、何もしていないみたいで……

ずっと座っているだけなんです

寝てしまっていることが多いみたいで……
それを聞くと、「本当に行く意味があるのかな」と感じてしまいますよね。
何もしていないように見えても、意味がないとは限らない
デイサービスでの様子は、どうしても「何をしていたか」「楽しそうだったか」が気になりがちです。
でも、認知症のある方にとっては、何かをすることだけが目的ではない場合もあります。
たとえば、
- 外に出て人と顔を合わせる
- 周囲に気を配る
- 誰かの話を聞く
- 起きてその場にいる
それだけでも、心や体にとっては大きな意味を持つことがあります。
こうした一つひとつは、家で過ごしているときよりも、気づかないうちに、脳を使う場面が増えることもあります。
目に見えて「楽しそう」「活動している」という形でなくても、刺激を受けながら過ごしている時間には、意味があることも多いのです。
寝てしまうのは「合っていない」とは限らない場合もある
デイサービスで寝てしまっていると、

昼間寝てしまったら、夜眠れなくなるのでは?せっかく行っているのに。。。
と不安になる方も多いと思います。
日中は起きて活動して、夜しっかり眠ってほしい。
これは、ご家族としてとても自然な気持ちです。
そのため、デイで寝ている様子を聞くと、「このままでいいのかな」と悩んでしまうのも無理はありません。
ただ、現場で見ていると、デイで寝てしまう理由が、「退屈だから」「合っていないから」だけとは限らないケースも多くあります。
たとえば、
- 環境の変化に気を張って疲れている
- 人や音などの刺激が多く、エネルギーを使っている
- 安心できる場所だと感じて、緊張がほどけている
といった理由で、一時的に休んでいることもあります。
特に、利用を始めたばかりの時期や、家で幻聴や幻覚が視えていて不安な方、夜の眠りが不安定な方ほど、最初はデイで休む時間が増えることもあります。
「楽しそうかどうか」だけで判断しなくていい
もちろん、笑顔が見られたり、好きな活動に参加できたりすることは大切です。
ただ、その日その日で体調や気分は変わりますし、常に楽しそうに見えるとは限りません。

今日は寝てて参加していなかった
そんな日があっても、それだけで「意味がない」「合っていない」と決めなくていいのです。
家族が感じる違和感も、大切にしていい
一方で、「ずっとしんどそうにしている」「毎回強い拒否が続いている」など、気になる様子があれば、その違和感を大切にしてください。
無理に我慢する必要はありません。
次の章では、「やめる前に確認してほしいポイント」について整理していきます。
デイサービスをやめる前に確認してほしい4つのポイント


嫌がっているし、意味がなさそうだし……
そう感じたとき、すぐに「やめる・続ける」を決めてしまう前に、一度だけ立ち止まって確認してほしいことがあります。
本当に「合っていない」のか
デイサービスを始めたばかりの頃は、不安や緊張が強く出やすい時期です。
- 利用を始めてまだ間もない
- 職員や利用者の顔ぶれに慣れていない
- 送迎や時間の流れに戸惑っている
こうした段階では、一時的に嫌がる・落ち着かないことも珍しくありません。
「合っていない」と判断する前に、慣れるまでの時間があったかどうか考えてみてください。
私自身も、転職したばかりの頃は「今日は行きたくないな」と感じることがありました。
環境に慣れるまで、時間が必要なのは自然なことです。
サービスの内容が本人に合っているか
デイサービスは、実は提供している内容が大きく違います。
最近は、
- 運動特化型の半日デイ
- 入浴や食事が中心のデイ
- レクリエーションが多いデイ
など、さまざまな形があります。
運動が好きな方には合う一方で、半日型の場合は「お風呂がない」「食事がない」といった特徴もあります。
そのため、デイサービスそのものではなく、内容の相性の問題ということも少なくありません。
「その人らしさ」を活かせるデイを選べているか
本人がどんなことを好きだったか、どんな時間を楽しめていたかも、大切な視点です。
たとえば、
- 勝負ごとや駆け引きが好きな方
→ 麻雀やゲームがあるデイ - お話が好きな方
→ 会話の時間が多いデイ - 歌うことが好きな方
→ カラオケの時間があるデイ
など、「その人らしさ」で選ぶという考え方もあります。
現場では、特に男性の利用者さんが、麻雀などの活動に参加すると表情がぱっと明るくなる場面もよく見られます。
「嫌がっている=外に出たくない」ではなく、「合う場所が違うだけ」ということもあるのです。
家族の負担が限界に近づいていないか
本人のことを一番に考えているからこそ、家族はつい無理をしてしまいます。
- デイの日は電話対応が増えている
- 準備や声かけが大きな負担になっている
- 気持ちに余裕がなくなってきている
こうしたサインが出ているときは、家族が限界に近づいている合図かもしれません。
介護は、短距離走ではなく長距離走です。家族が倒れてしまっては、続けることができません。
迷ったときは、ひとりで決めなくていい
ここまで確認しても迷うときは、ひとりで結論を出さなくて大丈夫です。
- 家ではこんな言葉が出ている
- 寝ていることが多くて心配
- 続けるか迷っている
こうした気持ちを、ケアマネジャーやデイの職員にそのまま伝えてみてください。
情報を共有することで、利用時間の調整や、別のデイの提案など、次の選択肢が見えてくることもあります。
「やめる」かどうかは、その先で考えていい
デイサービスをやめるかどうかは、これらを確認したその先で考えても遅くありません。
次の章では、「守ること」と「任せること」をどう両立していけばいいのか、もう一歩踏み込んで整理していきます。
「自分がやらなきゃ」と思うほど、任せるのが難しくなる
デイサービスを嫌がる様子を見ると・・・

自分がどうにかしなきゃ。私が頑張らないと
そんな気持ちが強くなる方も多いと思います。
それは、責任感が強いからこそ出てくる思いです。
責任感が強い人ほど、ひとりで抱え込んでしまう
介護をしているご家族の中には、
- 迷惑をかけたくない
- 人に頼るのが苦手
- ここまで自分でやってきた
という方も少なくありません。

ここで任せたら、ダメな気がする。もっと自分が頑張れるんじゃないか
そんなふうに考えてしまって、任せる選択ができなくなることもあります。
任せることは、「役割を手放す」ことではない
ここで伝えたいのは、任せる=すべてを人に預ける、という意味ではないということです。
- 日中の見守りを任せる
- 専門的な部分を任せる
- 家族だけでは難しい部分を補ってもらう
そうやって、役割を分けるという考え方もあります。
家族にしかできないことは、これからもちゃんと残るんですよね。
むしろ、やることが多すぎるからこそ、一部を任せてみるという選択肢もあるのだと思います。
ひとりで背負い続けなくていい
介護は、「どこまで自分でやるか」「どこから人に頼るか」を考え続けることでもあります。
ずっと同じ形で頑張り続けなくて大丈夫です。
「今は少し任せてみる」「必要なところだけ手を借りる」そんな選択も、責任を放棄しているわけではありません。
自分を守ることも、介護の一部
自分が倒れてしまったら、続けたくても続けられなくなってしまいます。
気持ちや体に余裕を残すことは、結果的に長く向き合うための準備でもあります。
吹き出し:最初は嫌がっていた方が、環境や関わりが少し変わったことで、表情がやわらぐケースも多く見てきました。
「自分がやらなきゃ」と思い続けていると、知らないうちに心に余裕がなくなってしまうこともあります。
介護の中でイライラしてしまう気持ちや、その背景については、こちらの記事でも整理しています。
まとめ|認知症の親がデイサービスを嫌がるときに大切なこと
認知症の親が「デイサービスに行きたくない」と言うと、家族はどうしても悩んでしまいます。

無理をさせているのではないか。やめた方がいいのではないか
そう感じるのは、とても自然なことです。
でも、「嫌がる=やめる」だけが答えではありません。
環境への不安や混乱、慣れない場所での緊張、見えにくい疲れや戸惑い。
その言葉の裏には、さまざまな理由が隠れていることもあります。
また、デイサービスで何もしていないように見えたり、寝ているように見えたりしても、外に出て人と関わる時間そのものが刺激になっている場合もあります。
大切なのは、「続けるか」「やめるか」を急いで決めることではなく、その人に合う場所や関わり方を探すという視点を持つこと。
そして、自分ひとりで抱え込みすぎないことです。
誰かに任せることは、長く介護を続けるための、大切な支援のひとつ。
ここまで悩んで、考えてきたあなたはそれだけ真剣に向き合ってきたということだと思います。
少し立ち止まりながら、ときには誰かの手を借りながら、あなたのペースで進んでいってください。



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