
同居しないといけなくなりそう…。
親の介護が必要になってきて本当は同居したくないけど、「介護しないと生活ができないかもしれないから仕方ない」そんなふうに思っていませんか。
親の介護で同居を考え始めると、「もうこの選択しかないのかな」と感じてしまうことは少なくありません。
でも、正直に言うと・・・同居ってだけでも大変です。
そこに介護が加わると、負担は一気に大きくなります。
介護が必要なことは分かっている。
生活できないなら、やらなきゃいけない。
そう思って関わり続けていると、気づかないうちに、どんどんしんどくなってしまうこともあります。

こんにちは。OTちゃりんこと、作業療法士のちゃりんです。
特に、夫婦で協力できればいいけれど、どちらか一方に負担が偏ってしまうと親の介護と同居がきっかけで夫婦関係まで苦しくなってしまうことも珍しくありません。
だからこそ、同居を決める前に、一度立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
どうすれば親も、家族も、無理をしすぎず、お互いに心地よく生活できるのか。
- 親の介護で同居を考え始めたときの迷いどころ
- 家族がやりすぎないための関わり方
- どこまで手伝い、どこから本人に任せるかの考え方
- 同居を決める前に整理しておきたい視点
「ちょっと一度、ここを見直してみない?」そんな気持ちで、読み進めてもらえたら嬉しいです。
同居を考え始めるとき、最初に整理したいこと

親の介護で同居を考え始めたとき、まずやってほしいのは「気持ちの整理」ではなく、今の生活が本当にどうやって成り立っているのかを冷静に見直すことです。

このままでは同居しないと無理かもしれない
そう感じたときほど、一度立ち止まって現実を整理してみることが大切です。
このまま一人で生活を続けさせて大丈夫なのか
そう感じたときほど、一度立ち止まって現実を整理してみることが大切です。
最初に確認したいのは、今の生活がどの程度、本人だけで成り立っているのかという点です。
- 家の中での生活は安全にできているか
- 転倒や体調変化のリスクは高くなっていないか
- 一日の生活リズムは保たれているか
「今は大丈夫そう」に見えていても、少しずつ不安定になっているサインが出ていることもあります。
ただし、この時点では「だから同居しなければいけない」と結論を出す必要はありません。
まずは、現状を把握することが目的です。
今の生活は「本人だけ」で回っているのか
次に整理したいのが、実は家族が支えている部分がどこにあるのかです。
- 家事(掃除・洗濯・食事の準備)
- 買い物や日用品の管理
- 通院の付き添い・予約
- 金銭管理や手続き
「一人暮らしはできている」と思っていても、よく振り返ってみると家族のサポートが前提になっている部分が見えてくることがあります。
ここを曖昧なままにしてしまうと、「気づいたら全部こちらがやっていた」という状態になりやすくなります。
この状態が続くと、家族の負担が増えるだけでなく、本人が「できていたこと」まで失ってしまうことがあります。
同居を考える前に、どこまでが本人の力で、どこからが家族の支えなのかを一度書き出してみるのもおすすめです。
サービスを使えば同居せずに成り立つ可能性はないか
生活の中で足りていない部分が見えてきたら、次に考えたいのはサービスを使うことで補えないかという視点です。
- 訪問介護で家事や身の回りの支援を受ける
- デイサービスで日中の見守りや活動の場を確保する
- 配食サービスや見守りサービスを取り入れる
こうした支援を組み合わせることで、同居しなくても生活が成り立つケースも少なくありません。
「同居しないと無理」と決めてしまう前に、サービスで補える部分がないかを見ることは、家族にとっても、本人にとっても大切な視点です。
ここまで整理してみて、初めて「それでも難しい部分はどこか」が見えてきます。
次の章では、こうした現実整理を踏まえたうえで、同居になるかどうかを左右する「関わり方の設計」についてもう少し詳しく考えていきます。

今はサービスがたくさんあるので、検索してみるとピッタリなサービスがあるかも
同居すると、同居家族が支援できる前提で考えられ、訪問介護の生活援助(家事など)が使いにくくなる場合があります。
「同居すれば安心」と思っていても、支援の組み方が変わることがあるので注意が必要です。
同居になるかどうかを左右するのは「関わり方の設計」
同居するかどうかは、介護の量が多いか少ないかだけで決まるものではありません。
実は多くの場合、「どれくらい手がかかるか」よりも「生活をどう組み立てているか」によって、同居が必要かどうかが左右されます。
同居は介護の量ではなく生活の組み方の問題
介護・手伝いが必要になったから同居、忘れっぽくなっているから同居そう考えがちですが、少し視点を変えてみてください。
- 誰が
- いつ
- どこまで
- どんな形で関わっているのか
この整理ができていない状態で同居を始めると、介護の量が少なくても、自分たちの生活は一気に回らなくなります。
同居が大変になる原因は、「介護が重いから」ではなく、生活の役割や時間が整理されていないことにある場合が多いのです。
全部を家族が担うと、生活は一気に回らなくなる
同居をすると、これまで分かれていた生活が一つになります。
すると、気づかないうちに・・・
- 家事
- 予定の調整
- 体調の気遣い
- 小さな判断の積み重ね
こうしたことが、家族側に集中しやすくなります。

今は手伝えるし、自分がやったほうが早いから
そんな理由で抱え続けていると、介護の量以上に、生活そのものが重荷になっていきます。
その結果、「この関わり方では生活が回らない」と感じてしまうことも少なくありません。
本人の生活をどこまで残せるかが分かれ目になる
同居する・しないを分ける大きなポイントは、本人の生活をどこまで残せるかです。
すべてを家族が決め、動かす生活になると、本人は「してもらう側」になり、生活の中での役割を失っていきます。
- 時間がかかっても自分でやる
- 見守りの中で選択できる
- 失敗してもやり直せる
こうした余地があると、同居していても、生活は比較的安定しやすくなります。
同居が必要かどうかを考えるときは、「どれだけ手がかかるか」ではなく、「どんな生活を続けられそうか」という視点で一度見直してみることが大切です。
次の章では、こうした生活の組み立てを考えるうえで欠かせない、リハビリの視点について整理していきます。
OTが考える「生活を残す」ためのリハビリ視点
リハビリというと、病院で運動をしたり、訓練を受けたりするイメージを持つ人が多いかもしれません。
でも、在宅での生活を考えるときに大切なのは、「できる動作を増やすこと」よりも「今の生活をどう続けていくか」という視点です。
リハビリは病院の中だけの話ではない
作業療法士(OT)が見るリハビリは、筋力や動作だけではありません。
- 朝起きて、身支度をする
- 食事の準備をする
- 外に出る、誰かと話す
- 一日の流れを自分なりに組み立てる
こうした生活そのものが、リハビリの場になります。
だからこそ、在宅での関わり方次第で、生活は維持もできるし、逆に崩れてしまうこともあります。
生活を続けること自体がリハビリになる

生活の中には、「うまくいかないこと」や「時間がかかること」もあります。
- 少し時間をかけてやる
- 見守りながら挑戦する
- 失敗しても、もう一度やり直す
こうした経験の積み重ねが、生活を続ける力につながっていきます。
すべてを先回りして整えてしまうと、一見、生活は安全でスムーズに見えます。
けれどその分、本人が考えたり、選んだり、動いたりする機会は減ってしまいます。
「やってもらう」より「できる形に整える」
OTの視点で大切にしているのは、「やらせるか」「任せるか」ではなく、「どうすれば続けられる形になるか」を考えることです。
- 全部代わりにやるのではなく、工程を分ける
- 危ないところだけ見守りや支援を入れる
- 本人が決められる部分を残す
こうした工夫があるだけで、同じ生活でも負担の感じ方は大きく変わります。
近くにいるほど「待てなくなる」という現実
ただ、これは分かっていても、実際の生活ではなかなか難しいものです。
正直に言うと、近くにいるほど「待てなくなる」ことはよくあります(笑)
こちらが手を出したほうが早く終わるし、親のペースは、はっきり言って遅い。
待っているうちにイライラして、いつの間にかこちらのペースで生活が回ってしまう。
実際、いろいろなご家庭を見ていると、意外とある程度の距離があったほうが、お互いに無理なく生活できているケースも少なくありません。
だからこそ、「頑張れるかどうか」ではなく、生活の中で距離や役割、時間をどう分けるかを意識して考えることが大切になります。
次の章では、同居する場合に考えておきたい「役割」と「時間」の線引きについて、もう少し具体的に整理していきます。
同居するなら考えたい「役割」と「時間」の線引き

同居をする・しないを考えるとき、見落とされがちなのが 「役割」と「時間」をどう分けるか という視点です。
介護が必要になると、どうしても「助ける・支える」ことに意識が向きがちですが、生活は介護だけで成り立っているわけではありません。
同居を無理せず長く続けられるかどうかは、役割と時間をどれだけ意識的に線引きできるかで大きく変わってきます。
親がこれまで担ってきた役割は何か
まず考えたいのは、親がこれまで生活の中で担ってきた役割です。
- 家事(料理・洗濯・片づけ)
- 一日の生活リズムはどういう流れか
- 家の中での居場所や立ち位置
介護が始まると、これらの役割を一気に家族が引き受けてしまいがちです。
でも、役割をすべて奪ってしまうと本人は「やることがない」「頼るしかない」状態になり、生活の張りや主体性を失いやすくなります。
役割を残すことは、冷たいことでも、突き放すことでもありません。
生活を続けるために必要な工夫です。
お互いに元気に、無理なく過ごしていくための土台でもあります。
家族と親の「生活ペース」は分けられるか
同居がしんどくなる大きな理由の一つが、生活ペースがすべて一緒になってしまうことです。
- キッチンを使う時間
- 起きる・寝る時間
- 食事や休憩のタイミング
これらが常に重なると、小さなストレスが積み重なっていきます。
「一緒に暮らす=すべて一緒にやる」ではありません。
- 一緒にやらない時間を作る
- それぞれの生活時間を尊重する
- 別々に過ごす空間や役割を持つ
こうした工夫があるだけで、同居の負担感は大きく変わります。
役割を残すことは「冷たさ」ではない
同居をして役割を分けようとすると・・・

冷たいと思われないかな。鬼嫁だと思われないかな
そんな不安が出てくることもあります。
実際私の母はここに怯えていました笑
たしかに、やってもらえる生活は楽です。
助かるな、と感じる場面もあると思います。
でも一方で、自分の役割がなくなることで、
「やることがない」「動かなくていい理由ができてしまう」
そんな状態につながることもあります。
役割が減ると生活の張りがなくなり、虚無感を感じたり、結果的に身体を動かす機会が減って、身体機能の低下につながることも少なくありません。
できることを続けられる、できる部分がある、自分の居場所がある。
こうした要素があるからこそ、生活は保たれていきます。
役割を残すことは、関係を悪くするためではなく、同居を続けるための現実的な選択です。
次の章では、同居しない選択を続ける場合に、どんなリスクをどう見極めていけばいいのかを整理していきます。
同居しない選択を続ける場合に考える「リスクの見極め」
同居しないという選択は、決して無責任でも、冷たい判断でもありません。
ただし、同居しないで生活を続けるのであれば、どんなリスクがあるのかを知ったうえで選ぶことが大切です。
ここで大事なのは「不安だから同居する」でも「大丈夫そうだから何もしない」でもなく、現実を見ながら備えるという考え方です。
一人暮らしには転倒や体調変化のリスクがある
在宅での生活では、転倒や体調の急変といったリスクはどうしてもゼロにはできません。
- 段差や夜間の移動
- 体力の低下
- 暑さ・寒さへの対応
こうした小さな変化が重なることで、思わぬ事故につながることもあります。
ただし、これらは「同居しなければ防げない」ものばかりではありません。
転倒をきっかけに生活が一変することもある
転倒や体調不良をきっかけに、こういう変化が起こることがあります。
- 急に介助が必要になる
- 外出が減る
- 生活範囲が狭くなる
その結果、「今までできていた生活」が急に難しくなるケースもあります。
だからこそ大切なのは、「今できているか」だけで判断しないことです。
「今できている」だけで判断しないことが大切
今は何とか回っている。今はまだ一人で暮らせている。
それ自体は事実でも、少し先の変化まで見据えておくことで、選択肢は広がります。
- もし体調を崩したらどうするか
- 連絡が取れなかったらどう対応するか
- どこまでを家族が担い、どこから支援を使うか
こうしたことを、元気なうちに話し合っておくことが、同居しない選択を続けるための大切な備えになります。
同居するかどうかを考えるときは、「まだできている」だけで判断しないことも大切です。
実は、在宅生活が限界に近づいているサインは、日常の中に少しずつ現れていることがあります。
次の章では、こうしたリスクや不安を一人で抱え込まないために、支援をどう組み立てていくかについて整理していきます。
同居かどうかは「支援を組み立ててから」決めていい
同居するかどうかを考えるとき、「もう限界だから」「仕方ないから」と急いで結論を出してしまいがちです。
でも本来、同居は最初に決めるものではなく、支援をどう組み立てるかを考えたあとに選んでいいものだと思っています。
まず相談したいのはケアマネジャー
在宅での生活を続けるか、同居を検討するか迷ったとき、最初に相談してほしいのがケアマネジャーです。
- 今の生活でどこが大変になっているのか
- 家族がどこまで関われているのか
- サービスを使えば補える部分はどこか
ケアマネージャーはこうした点を整理しながら、生活全体を見て支援を組み立てる役割を担っています。
「同居しないと無理」と決めてしまう前に、一度、今の生活を一緒に見直してもらうだけでも、選択肢が広がることがあります。
サービスの調整で生活が成り立つ場合もある
訪問介護やデイサービス、配食や見守りサービスなど、在宅生活を支える仕組みは一つではありません。
それぞれを少しずつ組み合わせることで、同居せずに生活が成り立つケースも少なくありません。
「全部を誰かが抱える」のではなく、生活の一部を支援に任せることで、家族も本人も、無理をしすぎずに過ごせるようになります。
リハ職は「生活の続け方」を一緒に考える役割
作業療法士や理学療法士、言語聴覚士などのリハ職は、「できる・できない」だけを見る存在ではありません。
- どんな生活なら続けられそうか
- どこに工夫や支えがあればいいか
- 役割や動き方をどう残せるか
こうした視点で、生活の続け方そのものを一緒に考える役割を持っています。
ケアマネジャーと連携しながら、支援と生活のバランスを整えていくことができます。
「その先」を少しだけ話し合っておく
同居するかどうかを考えるとき、もう一つ大切なのが、その先のことを少しだけ想像しておくことです。
- どんな状態になったら施設を検討するのか
- できるだけ自分の家で過ごしたいのか
- 施設に入るとしたら、費用はどうするのか
- そのとき、今の家はどうするのか
- きょうだいで、どこまで支え合えそうか
考え始めると、きりがないと感じるかもしれません。
でも、元気なうちに一度話し合っておくことは、決して早すぎることではありません。
少し酷な話に感じるかもしれませんが、いざというときに、「どうするか」を一から考えなくて済むという意味で、大切な準備でもあります。
家族の誰か一人の人生が止まらないために
私自身も、実家のことについて、きょうだいと親を交えて話しておこうと思っています。
普段は離れて暮らしている弟も、「親を見なきゃ」という気持ちで地元に帰ってきています。
でも、弟には弟のこれからの人生設計があります。
親の介護を大切にすることと、誰か一人がやりたいことを我慢し続けることは、必ずしも同じではないと感じています。
同居が「犠牲」だと言いたいわけではありません。
ただ、介護の形を選ぶことで、誰かの人生だけが止まってしまうとしたら、それは少し違うのではないかと思うのです。
同居かどうかは、家族全員の生活と人生を見渡したうえで選んでいい。
支援を組み立てて話し合い、そのうえで選んだ同居は、きっと無理の少ない形になるはずです。
まとめ
親の介護で「本当は同居したくない」そう感じているとしたら、同居しない形でも生活を続けられるヒントがこの記事の中で少しでも見つかっていたら嬉しいです。
同居は、正直に言って大変です。
簡単に決断できるものではありませんし、気持ちだけで決められる話でもありません。
それでもこの記事をここまで読んでくれている方は、きっとすでに「何かを決めなきゃいけない状況」に置かれているのだと思います。
だからこそ、一人で抱え込んだまま決めてしまうのではなく、話し合いができる状況であれば一度立ち止まって整理してみてほしいと思います。
同居か、在宅か、支援をどう使うか。
どれが正解かではなく、みんなが無理をしすぎずに続けられる形を探すことが大切です。
この記事がそのための整理の材料として、そして話し合いのきっかけとして、少しでも役に立てば幸いです。




コメント